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あぶくたっ多度!
作曲年月:2015年2月
編成:Violin1, Violin2, Viola, Violoncello, Contrabass
演奏時間:8分
初演:桑名弦楽合奏団(2015年9月)
[試聴(MP3ファイル)]
全曲(12.7MB 8’48’’) ABUKUTATTADO!.mp3
演奏:桑名弦楽合奏団(地域巡回コンサート2015より)
[曲目解説]
多度に伝わる曲として合奏団の方に挙げていただいた「あぶくたった」は、多度をはじめ広い地域に伝わる遊び歌で、さまざまなバージョンで子どもたちに親しまれていますが、今回は「あぶくたった」のリズム、モチーフを元にして、多度の季節を表現しようと思いました。
この曲は、大きく4つの部分に分かれます。
1つ目は、軽快なテンポの「あーぶくたったっ」のリズムの伴奏に乗り、「多度のテーマ」が流れます。
お正月、多度大社にたくさんの人が集まり、にぎわう様子を表してみました。
この部分のメロディの始まりの3つの音は、「TADO」の「T(シ)-A(ラ)-D(レ)」から選びました。
「多度」の「た」が五十音表の4行目であるので、旋律が「4度」で重なるところが「多」いです。
2つ目は、4分の3拍子でテンポがゆっくりになり、チェロのソロで始まります。
イヌナシ「DOG PEAR」の「D(レ)-G(ソ)-E(ミ)-A(ラ)」から展開する、懐かしさを思わせるメロディで、昔からこの地で生息するマメナシ(イヌナシ)の歴史をなぞります。
多度には国の天然記念物でもあるイヌナシの自生地があり、桜に似た白い花を咲かせる時期には、みどりヶ池の水面にも花が映る様子が美しいです。
3つ目は、夏の風物詩、多度のちょうちん祭りのイメージです。
夜に提灯の明かりが幻想的に揺れる様子を、ちょうちん「CHOCHIN」の「C(ド)-H(シ)-C(ド)-H(シ)」からできた半音階のモチーフを使って表しました。
4つ目は、「あぶくたった煮え立った」のメロディがはっきりと再現されるとともに、8分の7拍子でこの曲の中でもっともテンポが速くなります。
ここは、多度祭りで行われる上げ馬神事の勇ましさを表現しました。
さて、曲の中の上げ坂、馬は駆け上がることができたでしょうか。
この曲は、桑名弦楽合奏団の委嘱により作曲したもので、舞台となった多度の桑名市多度公民館にて初演されました。
初演時には、曲に合わせて桑名高校書道部のパフォーマンスも行われ、部員の皆さんが考えたメッセージが、力強く大きな筆で描かれました。
地域巡回コンサートとして演奏された中で、いなべ市の公演に伺った際には初めて三岐鉄道に乗り、硬券が珍しかったので無効印を押してもらい、記念に貰って帰りました。
演奏も、初演からさらにブラッシュアップされて、躍動感あるサウンドでした。