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Viridian Drive(ビリジアン・ドライブ)
作曲年月:2012年9月
編成A 初演版
   :Mandolin1, Mandolin2, Mandola-Tenor, Mandoloncello, Guitar, Mandolone, Contrabass
    Mandoloneなしでも演奏できるように小音符を加えてあります
編成B 少人数版(div.なし)
   :Mandolin1, Mandolin2, Mandola-Tenor, Mandoloncello, Guitar, Contrabass   
演奏時間:15分
初演:編成A 名古屋大学ギターマンドリンクラブ(2012年12月)
   編成B マンドリンアンサンブルちぇりーず!(2016年2月)
楽譜:6,000円(スコア、パート譜)
   2種類の編成の楽譜がありますので、ご注文の際はA、Bいずれかをご指定下さい。

[試聴(MP3ファイル)]
全曲(20.8MB 14’25’’) Viridian_Drive.mp3
演奏:名古屋大学ギターマンドリンクラブ(第55回定期演奏会より)

[曲目解説]
私が生まれた頃、父が乗っていた車は深緑色のスバル360でした。
夜泣きしたときなどは、車に乗せて近所を一周すると泣き止んだそうです。
しかし、眠りについた私を抱えてそうっと家に戻り、ベッドに寝かせようとする時に限ってつまづいてしまい、また泣き出したんだよ、と思い出話を何度も聞いたことがあります。
自分が子どもの時には「また同じ話をしているなあ」と、ちょっと面倒くさく思っていたのですが、今思うとそんな話を笑顔でしてくれた時間はとても大切だったなあ、と実感します。
父は車をとても大事にしていて、「スバル」に愛着があったようで、『この会社は大きくないけど、飛行機の部品も作ってるすごい会社なんだぞ』などと教えてもらいました。
七五三や記念写真などは、車の前で撮影したものも多く残っています。
曲のタイトル「Viridian Drive(ビリジアン・ドライブ)」には、去年他界した父と過ごした幼い頃の楽しかったこと、悲しかった記憶などの大切な時間を、今と重ね合わせ様々なできごとを思い出すことで、今を生きている自分が前に進んでいく力にしたい、という思いを込めました。
曲は大きく3部に分かれ、マンドリン属の楽器奏法は、第1部はピッキングのみ、第2部はトレモロのみとし、また重音を多く用いて、奏法によるサウンドの違いをはっきりさせてみました。
その他、オーケストラ全体を一つの音響として、音の波のようなものをいろいろなところで試してみました。
モチーフとしては、初めの旋律の冒頭で表れる順次進行の3つの音でできた音型が核となっています。
曲を聴いたみなさんが、それぞれの思い出に触れて何か暖かいものを心にとどめていただけたら嬉しいです。
(名古屋大学ギターマンドリンクラブ第55回定期演奏会プログラムより)

この曲は、名古屋大学ギターマンドリンクラブの委嘱により2012年に初演されました(編成A)。
始まりの重音の音色は、思い通りの響きで嬉しかったです。
各パートのソロも自由にたっぷり演奏していただきました。
特に、曲の第1部ではピッキング、第2部ではトレモロで演奏されたメロディが、第3部では両方を使って演奏されるのですが、そのピッキングとトレモロの使い分けがしっかり揃っていて、オーケストラ全体で1つのテンポ感を作り上げていました。
偶然にも名古屋大学ギターマンドリンクラブの部旗も深緑色でした。

また、マンドリンアンサンブルちぇりーず!の委嘱により、div.なしの少人数版を作成しました(編成B)。