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Wisteria Ring(ウィステリアリング)
作曲年月:2010年8月
編成:Mandolin1, Mandolin2, Mandola-Tenor, Mandoloncello, Guitar, Mandolone, Contrabass
演奏時間:13分
初演:名古屋大学ギターマンドリンクラブ(2010年12月)
楽譜:6,000円(スコア、パート譜)

[試聴(MP3ファイル)]
全曲(18.2MB 12’36’’) Wisteria_Ring.mp3
演奏:名古屋大学ギターマンドリンクラブ(第53回定期演奏会より)

[曲目解説]
子どもの頃、バスや地下鉄が好きだった私は、休みの日になると一人分の一日乗車券を購入し、最寄りのバス停から名古屋駅に行き、路線図を見て乗ったことのない系統を選んで往復する遊びをよくしていました。
もちろん特等席は、バスならば運転手さんのすぐ後ろの席、地下鉄は先頭車両のいちばん前。
小さなカセットデッキを持参して、車内放送を録音したりもしました。
その頃に比べて現在の地下鉄は、車両も路線もずいぶん進歩しています。
名古屋大学駅のある、日本初の地下鉄環状線である名古屋市営地下鉄名城線のラインカラーは紫であり、先に走っていた東山線のウィンザーイエロー(菜種色)に対する補色として決められたそうです。
Wisteria Ring(ウィステリアリング)は直訳すると「藤色の環」。
生活の足である地下鉄が廻り続ける様と、日々繰り返される「暮らし」を重ね合わせてイメージし、作曲しました。
毎日同じような時間を生きているようでも、ほんの少しずつ前に進んでいるわけで、全く同じ一日はありません。
曲の中のモチーフも現れるたびに少しずつ変化していきます。
Mandola-Tenorのソロのフレーズに現れるモチーフは、名古屋大学のローマ字表記「NAGOYADAIGAKU」より、音名として使用できる「A-G-A-D-A-G-A」から作成しました。
また、名城線の駅数28も、曲の中の重要なキーワードとして存在しています。
(名古屋大学ギターマンドリンクラブ第53回定期演奏会プログラムより)

この曲は、名古屋大学ギターマンドリンクラブの委嘱により2010年に初演されました。
迫力があり、旋律は朗々と歌い、リズムは切れのある、メリハリの効いた感動的な演奏でした。
変拍子の繰り返しで指揮は難しかったと思いますが、指揮さばきが鮮やかで素晴らしかったです。
曲の中に何度も出てくるMandola-Tenorのソロの音色も甘く、表情豊かでした。
演奏会の最後、アンコールでのギターパートリーダーの涙を見て、自分の現役時代を思い出し、もらい泣きしそうになりました。